卓球に打法の中でも、特に使用頻度が高いのが「ドライブ」。本記事では、「ドライブとは何か」をテーマに、ドライブの基本的なことをまとめてみました。
卓球のドライブとは?
ボールにトップスピン(前陣回転)をかける打法
ドライブとは、ボールにトップスピン(前陣回転)をかける打法のことです。文字通り、前に進むような回転がかかっています。バウンド後は加速するように前に飛んでいきます。
トップスピンのことを、卓球では上回転と呼ぶことが多いです。
スマッシュとの違い
卓球を始めたばかりの方は、ドライブとスマッシュを混同しがちです。ドライブとスマッシュは明確に違います。
上で書いたように、ドライブはボールに上回転をかけて打ちます。一方でスマッシュは回転をかけません。ナックル(無回転)気味に打ちます。
ドライブとスマッシュの違いを端的に言うと、「回転をかけるのがドライブ、弾くかのがスマッシュ」。このように覚えておけば問題ありません。
さらに詳しい違いが知りたい方は、下記記事を読んでみてください。
安全で、なおかつ攻撃的
ドライブは、どんな球種に対しても高い確度で対応することができます。さらに、攻撃的にリターンすることができます。つまり、「安全で、なおかつ攻撃的」な打法だということができます。
また、前陣・中陣・後陣どのポジションであっても、スイングの大きさを変えることで対応することができます。
さらに、相手から先手をとられたり攻撃されても、相手の決定打を打たせないようなつなぎのボールを打つこともできます。
守備にも攻撃にも優れているドライブ。万能感の漂う打法です。
トップ選手も多用
上で紹介した通り、ドライブは使い勝手の良い打法です。そのため、一般の選手からトップ選手までが多用しています。ドライブを主力として戦う選手も多くいます。
ドライブを主力として戦う戦型のことをドライブ主戦型と読んだり、ドライブマンと読んだりします。
ドライブを打つ場面
上でも書いたように、ドライブを打つ場面はかなり多いです。極端に言えば、打ち方さえ変えればどんなボールにも対応できます。
以下では、主にドライブを使用する場面を三つ紹介します。
レシーブで打つ
レシーブの際にもドライブは有効です。下回転、上回転、横回転、どの種類の回転に対しても、ドライブで返球可能です。
下回転のボールに対しては、回転量を多めにして対応。上回転のボールに対しては、ラケットを下に向けて抑えるようにして対応します。
つなぎで打つ
相手にドライブやスマッシュで攻められた時でも、ドライブでの返球は有効です。
体勢が厳しい場合は、回転量を多くして高く上げて体勢を戻すようにしてドライブを打ちます。ただ上に打ち上げるだけでなく、回転がかかっているので相手のミスを誘うこともできます。
このように、ドライブをつなぎの手段として使うことも可能です。余裕があれば、攻撃的にカウンタードライブを繰り出すこともできます。
チャンスボールを打つ
高く上がったボールや、回転の甘いボールに対してもドライブは有効です。スマッシュで強打した時と比べるとスピードは遅いですが、回転がかかっている分重い球を打つことができます。
高い打点で打つことができる場合は、下で紹介するスピードドライブで得点を獲得するようにします。
ドライブの種類
卓球のドライブには、多くの種類が存在します。打ち方を変えることで、様々な変化を伴うドライブを打つことができます。以下では、ドライブの種類をざっと紹介しますね。
スピードドライブ
スピードドライブとは、回転よりもスピードを重視したドライブです。より攻撃的な打ち方になります。
ボールの軌道は直線的で真っすぐに飛んでいきます。
打点の高いチャンスボールや回転の弱いボールに対しては、スピードドライブを打って得点を取りに行く場合が多いです。ドライブの中でも、スマッシュに近い種類のドライブだと理解してもらえるといいと思います。
ループドライブ
ループドライブとは、スピードよりも回転を重視したドライブです。より守備的な打ち方になります。
スピードドライブよりはボールのスピードは劣りますが、回転量は絶大です。ボールの弾道は曲線的で、弧を描くように飛んでいきます。
強烈な回転がかかっている下回転に対しては、ループドライブを使って返球すること機会が多いです。相手の回転に負けないくらいの強烈な回転をかけて、回転を上書きするような感覚で打ちます。
ドイツのティモ・ボル選手は、ループドライブを得意としています。守備的なドライブではありますが、強烈な回転によって相手のミスを誘ったり、攻撃の起点とすることもできます。
パワードライブ
パワードライブとは、回転とスピードを両立させたドライブです。ドライブの理想の形といっても過言ではありません。世界のトップ選手は、パワードライブを駆使して戦っています。
上で紹介したスピードドライブの「速さ」とループドライブの「回転量」を高い次元で組み合わせています。速いし、なおかつ回転量も多い。
パワードライブを打つことができれば、強力な武器となります。ただし、習得するためには、高い技術と筋力が必要になります。スイングスピードが速くなければ、パワードライブを打つことはできません。
ドライブの中でも、特に難易度の高い技術だといえます。
カーブドライブ
カーブドライブとは、自分から見て左に曲がるドライブのことを指します。
ラケットでボールを巻き込むようにして打つことで、ボールにカーブの回転をかけます。弾道は左方向に曲がり、バウンド後も左方向に飛んでいきます。
相手の体勢を崩しやすく、攻撃の起点とすることができます。例えば、カーブドライブで相手を左側に移動させて、返ってきたボールを手薄になった右側に打つ。このように、体勢を崩して得点を得ることができます。
シュートドライブ
シュートドライブとは、自分から見て右に曲がるドライブのことを指します。カーブドライブとは逆方向の回転ですね。
弾道は右方向、バウンド後の変化も右方向に飛んでいきます。スイングの方向的に、カーブドライブよりもシュートドライブの方が難易度は高めです。
台上ドライブ
台上ドライブとは、台の上で打つドライブのことです。自分のコート内で2バンするような短いボールに対して使います。
通常のドライブは、台の下に沈むようにしてバックスイングをとって下から上に振り上げるようにして上回転をかけて打ちます。台上ドライブは、このように大きなバックスイングをとることができません。
そのため、通常のドライブよりも速いスイングスピードが必要になります。こちらも難易度高めの技術だといえます。難易度が高い分、習得できれば攻撃の幅はかなり広がります。
ドライブの打ち方・フォーム
ドライブの打ち方に関しては、文字で説明するよりも動画で見た方が伝わりやすいと思います。
上に掲載しているのは、卓球用品メーカー大手のBUTTERFLYが公開している動画。笠原選手をモデルにして、フォアハンド・ドライブの打ち方を解説してくれています。
ドライブを打ちたいと思った方は、ぜひ動画を参考にして練習してみてください。
動画内のポイントを、文字でもまとめてみました。
- 右足に重心をかけてバックスイングを取り、斜め上にスイングして、ボールをこするように打つ
- 右足に重心をかけてボールを呼び込む
- 腰を右にひねり、右足に重心をかけて準備
- 前腕を使って回転をしっかりかける
- 打球の瞬間にラケットを強く握り、ボールをしっかりこする
- フォロースルーは顔のまえ